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■■■ 納期5日間に短縮、注文時に仕様選択
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━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日本経済新聞 2000.2.21 ━
◆コンパックコンピュータは販売の7割を占める企業向けパソコン
の全量を国内生産に切り替える。今夏にデスクトップ型の生産を移
管、年内にサーバー、来年以降にはノート型も国内生産に移す計画
だ。
◆消費地での生産により2週間かかる納期を5日間に短縮する。パ
ソコン生産の中心はコストの低いアジアに移っているが、市場の急
激な変化に対応するために国内での最終組み立てを強化する動きが
出てきた。
◆多摩事業所(東京都あきる野市)を国内生産拠点にする。まず企
業向けの主力シリーズ「デスクプロ」の生産を今夏から移管。注文
時にMPU(超小型演算処理装置)やメモリーなど仕様を自由に選
べる生産方式を採用、顧客の要求に細かく対応する。企業向けパソ
コンは受注型生産で、受注から納品まで10日間から2週間かかる。
国内生産により納期を短縮することで早い納品を望む顧客が他社へ
流れるのを防ぐ。
◆国内生産シフトで人件費などは上がり、パソコンの原価は高くな
る。一方で顧客対応上、販売代理店が持っていた流通在庫を大幅に
削減できる。さらに国内生産の方が不良率が低いため、同じ価格で
販売してもコスト競争力は逆に高まるとみている。
◆同社は1999年に約45万台を販売しており、シェアは4%程
度。国内生産をインターネット直販専用機種だけでなく全機種に広
げることで競争力を高め、早期にシェア10%を目指す。
◆個人向けパソコン「プレサリオ」シリーズは台湾から輸入してい
る。顧客が初心者中心で注文生産の需要が少ないことから現行の体
制を維持する。
◆パソコンの生産は台湾や東南アジアなど低コストの地域にシフト
してきた。一方で技術革新による商品の陳腐化も早まっており、在
庫を持たず迅速に商品を供給できる国内生産の利点も増している。
◆日本ヒューレット・パッカードも昨年国内生産を開始。NECな
ど国内勢も最終組み立て工程を日本に残している。
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 経営戦略考コメント ━
●メーカーの戦略にとっての最重要ポイントは「何を作るか」だが、
「どこで作るか」もないがしろにできないポイントだ。より消費地
に近い場所で生産するのがよいとされている。顧客ニーズをとらえ
やすく、機敏な対応も可能であり、物流コストも低く抑えられる。
コンパックをはじめとするパソコンメーカー各社がこの原則に立ち
返ったというのがこの記事だ。パソコンは人件費の安い海外で生産
するのが当たり前、という風潮に対するアンチテーゼでもある。
●生産活動における重要ポイントはQCDと呼ばれる3要素であり、
すなわちQuality(品質)、Cost(原価)、Delivery(納期)だ。
それぞれが相反する面もあるので、これら3要素の組み合わせを最
適にすることが競争力強化につながる。海外生産は、コストの面で
メリットがあるが、品質や納期の面では不利だ。コンパック等はQ
CDの3要素を総合的に判断して、国内生産の道を選んだと言える。
●海外生産を国内生産にシフトすることによるコストアップ要因は
人件費だ。しかし国内生産することによりビジネスの競争力を高め、
販売・生産台数を上げれば製品一台あたりの人件費を低下させるこ
とは可能だ。輸送費が削減されることは、コストダウン要因になる。
●品質とコストとは相反するようにも見えるが、実は品質が上がれ
ばコストは下がる(品質=仕様という意味ではない)。部品・材料
のムダがなくなるし、不良品の処理に関わる経済的・時間的・精神
的コストはバカにならない。「国内生産の方が不良率が低いため、
同じ価格で販売してもコスト競争力は逆に高まるとみている」とい
うコンパックの弁はその通りだ。
●短納期に対応するためには、メーカーは通常、在庫を過大に抱え
る傾向がある。コンパックが国内生産化する企業向けパソコンはす
べて受注生産だから、もともと長期間にわたって完成品在庫を抱え
ることはない。納期短縮により、部品や仕掛品の回転がよくなると
すれば、在庫コストや金利コストは削減できる。サプライ・チェー
ン・マネジメントのシステムを導入すれば、納期短縮と在庫削減を
両立させることもできる。国内生産が海外生産より短納期対応しや
すいことは言うまでもない。
●このように、QCDの3要素は必ずしも対立する概念ではない。
コンパックは海外生産から国内生産へとシフトするという生産の仕
組みの改革により、3要素すべてを大きく改善することを目論んで
いるのだ。
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■■■ 今日の教訓 ■■■
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品質・コスト・納期の3要素の組み合わせを最適化することを考え
よう。そのためには、それぞれの要素に目を向けるより、全体の仕
組みを変えることを考えた方が効果が大きい。
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