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2000年3月23日 通巻156号

ニールセン 月末で撤退 テレビ視聴率調査

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■■■   ニールセン 月末で撤退 テレビ視聴率調査
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━━━━━━━━━━━━━ 日本経済新聞 2000.3.23【11面】━

◆テレビ視聴率など各種調査を手掛けるエーシー・ニールセン・ジ
ャパン(東京・港)が3月末でテレビ視聴率調査を打ち切ることが
明らかになった。

◆ニールセンは1961年に国内で初めて視聴率調査を開始した老
舗だが、近年では電通、民放などが出資するビデオリサーチ(東京
・中央)の猛追でシェアが急落、事業採算が悪化していた。

◆ニールセンの事実上の撤退で、テレビ視聴率調査市場は名実とも
に、ビデオリサーチ1社独占体制となる。

◆ニールセンは撤退の理由について、「(視聴率調査事業が)経済
的に厳しいなかで、放送のデジタル化や多チャンネル化など環境の
変化に対応した調査体制を構築・維持するのは難しいため」(メデ
ィア・リサーチ本部)としている。

◆ニールセンは61年に関東地区と関西地区で世帯視聴率調査を開
始。その後、中京地区など全国の主要地区に拡大していった。しか
し、94年に関東地区における個人視聴率調査の導入を巡り、民放
キー局と対立。民放がニールセンとの契約解消に動いた結果、最近
ではビデオリサーチの「事実上の独占状態」(民放幹部)となって
いた。

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 経営戦略考コメント ━

●視聴率調査と言えば「ニールセン」。子供の頃、「ニールセン調
べ」という文字を見て、一体何だろう?と思ったことがある。そう
言えば最近見るのは「ビデオリサーチ」ばかりだ。

●記事ではニールセンが94年に民放キー局と対立したことが触れ
られている。広告主側は個人視聴率調査の導入を望んでいたが、局
側は調査の精度に疑問があり、番組編成にも大きな影響があるとし
て、その導入に反対していた。ニールセンが個人視聴率調査を撤回
しないことを受け、民放が契約を打ち切ったという経緯がある。

●当時、民放各局はビデオ・リサーチとニールセンの2社と視聴率
データの契約をするのが通例となっていた。データの信頼性を担保
する意味合いがあったのだろう。しかし契約を打ち切った民放局の
幹部は「ニールセンのデータがなくても支障はない」と発言してい
る。両社はゼロサム・ゲームを戦っているのではなく、共存できる
関係にあったわけだが、同時に、互いに代替可能な関係でもあった。
ニールセン側は歴史が長いだけに、自分たちが打ち切られるわけが
ないとタカをくくっていたのかも知れないが、それは誤算だった。

●どのような市場であれ、1社が独占するというのは大変なことだ。
通常、ある程度のシェアを獲得すれば、残りのシェアを奪って10
0%を達成するには相当なエネルギーとコストを要し、かえって収
益性が悪化する。しかし視聴率調査の市場については参入企業が2
社しかなく、1社が撤退すれば自動的に1社独占となる。このよう
な「一人勝ち」は時々見られる現象だ。VHSとベータの戦いが思
い起こされる。

●1社独占状態になれば、ライバルとの差別化を図り、市場シェア
を奪う必要がなくなる。地位は安泰なのだからのんびりしても良さ
そうなものだ。しかしビデオリサーチのサイトを覗くと、事実上の
独占企業であるにも関わらず、次々と新サービスを導入しているこ
とがわかる。( http://www.videor.co.jp/

●マーケティングという言葉の本来の意味は「市場創造」だ。競争
戦略の一環としてマーケティングをとらえると、シェアの奪い合い
ばかりが思い浮かぶが、それだけがマーケティングではない。ビデ
オリサーチがサービスを拡充する目的は、ライバルのシェアを奪う
ことではなく、市場を拡大し、新たな市場を創造することだ。シェ
アの奪い合いは価格競争を招きがちだが、市場拡大・市場創造は高
収益の維持を可能にする。

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■■■ 今日の教訓 ■■■
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自社の戦略の目的はシェア収奪だろうか、それとも市場拡大・市場
創造だろうか。高収益を維持したければ、後者の道を追求しよう。

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