経営戦略考 日経記事から毎日学ぶ経営戦略の原理原則 www.senryakukou.com
経営戦略の発想が身につく、毎日5万人が購読するビジネス系定番メールマガジン
サイトマップ

■メルマガ「経営戦略考」を読んでみませんか?(購読無料)
メールアドレス  
コンビーズメールを使って、メルマガ配信しています 

メールマガジンバックナンバー

2000年8月30日 通巻299号

リョービ、釣り具撤退 > 持たざる者の強みを捨てること

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■
■■■   リョービ、釣り具撤退
■■■
━━━━━━━━━━━ 日本経済新聞 2000.8.30【13版11面】━

◆リョービは29日、釣り具事業を9月30日付で釣り具小売り大手の
上州屋(茨城県谷和原村、鈴木健児社長)に売却し、同部門から撤
退すると発表した。

◆北米での電動工具事業、園芸用機器事業の売却などに続くリスト
ラクチャリング(事業の再構築)策の一環。不採算事業を整理し、
ダイカスト、印刷機など得意分野に特化して業績回復を目指す。

◆リョービが上州屋に譲渡するのは「RYOBI」ブランドの釣り
具の製造販売権と同社釣り具部門及び製造子会社のリョービスポー
テック(岡山県笠岡市)の資産で、譲渡価格は約10億円。リョービ
スポーテックは解散する。釣り具部門、リョービスポーテックの社
員は一部を上州屋が引き継ぐ。

◆上州屋は知名度の高い「RYOBI」を自社ブランドとするとと
もに、笠岡市の生産設備を引き継ぎ、リールなど各種製品の製造を
手掛ける。

◆リョービの釣り具部門の2000年3月期の売上高は55億5700万円。
釣りブームが一段落したことに加え、安価な海外生産品との競合な
どで販売が落ち込み、部門営業損益は15億3500万円の大幅な赤字に
転落していた。

◆今回の営業譲渡では約25億円の特別損失が発生するが、主力のダ
イカストが好調なことに加え、不採算部門撤退で営業利益が拡大す
ることなどから、2001年3月期の連結純利益は従来予想の25億円か
ら 26億円に増える見通し。連結売上高は従来予想の1860億円から
1830億円に減る見込み。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■
■■■   持たざる者の強みを捨てること
■■■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 経営戦略考コメント ━

●私の趣味は釣りだ。リョービが釣り具事業から撤退してしまうの
は、理屈抜きに淋しい気がする。しかし改めて手持ちの釣り具を見
直してみると、リョービの製品は一つもない。釣具屋の売り場でも、
同社の製品はかつてと比べて影が薄くなっている。

●リョービは釣り具業界では第3位。ダイワ精工やシマノの後塵を
拝している。55億を超える売上で営業赤字が15億以上ではどうにも
ならない。よくもここまで採算を悪化させてしまったものだ。同社
が釣り具事業をリストラすることに異議を差し挟む余地はない。

●では視点を変えてみよう。上州屋にとって、リョービの釣り具事
業を買収することにメリットはあるだろうか。もっと本質を言えば、
小売りチェーンがメーカー(製造)機能を取り込むことに、どれほ
どのメリットがあるのだろうかということだ。

●小売業の成功のポイントは、何をおいても商品であり、品揃えだ。
売れ筋商品をいかにして仕入れるかが重要だ。メーカーを自由に選
ぶことができてこそ、それが可能になる。自らがメーカーになって
しまえば、その選択の自由が制限されてしまう。

●もちろん、小売業とて、メーカーの製品を仕入れるばかりが能で
はない。自ら商品企画機能を持つことは必要だ。しかし、だからと
言って生産設備を持つリスクまで負う必要はない。上州屋ほどの販
売力があれば、メーカーに仕様書発注すれば済むことだ。

●とは言え、小売りチェーンが製造子会社を持ったり、メーカーに
資本参加するケースはある。上記のデメリットを補って余りあるメ
リットがあると判断すれば、そのような意思決定も行なわれる。商
品調達のコントロールやコスト競争力を強化できる場合や、メーカ
ーの技術力・商品及び商品開発力が非常に優れているといった場合
だ。

●持つ者の強みもあれば、持たざる者の強みというものもある。生
産設備を持つことが、上州屋にとって商品力の強化につながればよ
いが、小売業としての足かせとなる可能性もある。

※リョービ → http://www.ryobi-group.co.jp/
※上州屋 → http://www.johshuya.co.jp/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■ 今日の教訓 ■■■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

何でも持つことが強みになるとは限らない。持つことにより加えら
れる制限のデメリットを考えなければならない。持たざる者の強み
を軽視してはならない。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━