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2001年2月16日 通巻452号

アグフア PBフィルムを拡販 > 勝ち目のない競争ルールを回避する

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■■■   アグフア PBフィルムを拡販
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━━━━━━━━━━━━━━ 日経産業新聞2001.2.16【18面】━

◆欧州最大の写真フィルムメーカー、アグフア・ゲバルトの日本法
人、日本アグフア・ゲバルト(東京・目黒、イングバート・シュミ
ッツ社長)は小売店のプライベート・ブランド(PB、自主企画商
品)向けに写真フィルムを拡販する。

◆100円ショップ大手の大創産業(広島県東広島市、矢野博丈社長)
に大口納入を決めたほか、薬局チェーンなどと納入交渉を始めた。
PB向けを開拓し、昨年で1.5%前後だった国内フィルムシェアを
今年は3%に拡大する意向だ。

◆大創産業は、日本アグフアが納入した24枚撮りフィルムを同社の
PB商品として100円で売り出した。アグフア・ブランドのフィル
ムは27枚撮りで店頭実売価格が400円前後で、割安な価格設定とな
る。大創がフィルムを扱うのは初めて。

◆大創向けフィルムはアグフア・ゲバルトがドイツで製造した。日
本アグフアは納入量を明らかにしていないが、年間の買い取り契約
で500万本前後とみられ、日本アグフアの年間販売量の約600万本に
匹敵する。

◆日本アグフアは現在、大創以外にPB供給していないが、今後、
コンビニエンスストア、薬局チェーン、スーパーマーケットなどに
PB納入を働きかける。

◆顧客の要望に対応しやすくするため、PB商品供給は一業種一社
を原則とし、大創以外に100円ショップにフィルムを供給しない。

◆国内フィルムの市場規模は24枚撮り換算で年間4億本強。日本ア
グフアのシェアは富士写真フイルム、コニカ、米イーストマン・コ
ダックに押され、1.5%前後にとどまる。

◆日本アグフアは1994年にダイエー向けPB商品を手掛け、ピーク
時に5%前後までシェアが高まったが、ダイエー向けPB供給が終
わると、自社ブランド製品の販売網が十分でなく、シェアが低迷し
ていた。

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■■■   勝ち目のない競争ルールを回避する
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 経営戦略考コメント ━

●自社ブランド製品の販売網が弱い場合、今回の記事のように、他
社にOEM供給するという手がある。大口受注を安定的に獲得して
いくための選択肢として見逃してはならない。

●OEM供給は販売量を増加させ、それは生産量の増加につながり、
工場稼働率の向上、単位あたり製造原価の削減という効果をもたら
す。日本の家電メーカ間でのOEM供給も活発に行なわれている。

●アグフアの場合、大創産業への納入により、販売量が一挙に今ま
での2倍近くにまで跳ね上がる。小売価格が100円になるので、大
創への販売価格もかなり低くなるだろうが、それでも十分に利益を
稼げるとの計算があるはずだ。

●アグフアは100円ショップに製品を納入することになる。多くの
メーカは、OEMとは言え、100円ショップに製品を納入している
ことを公にしたがらないと聞く。他の流通業者から値引き交渉の材
料にされるし、自社ブランド品のイメージをも損なう。

●アグフアの場合、もともと日本でのシェアが低いため、その懸念
は少ないだろう。むしろ、ブランド力が低いため、OEMに注力す
るのに躊躇はいらない。そこそこのブランド力とシェアがあれば、
超安値でOEM供給することは、自分の首を絞めかねない。

●シェアやブランド力の戦いが一方で繰り広げられる中、OEM供
給で存在価値を確保しようとする戦略もある。自社ブランドでの拡
販を諦めるのは勇気ある決断だが、ブランド浸透のための派手なマ
ス広告などのコストを製品価格に転嫁させなくて済む。

●テレビCMやスポーツ中継などでのフィルムメーカの広告は非常
に目立つ。それだけ金をかけているということだ。その中で自社ブ
ランドを構築していこうとなると、まさに体力勝負となってしまう。

●フィルム業界の競争ルールが広告宣伝への大量な資源投入だとす
れば、アグフアは全く別のルールを志向していくことになる。それ
が低価格でのOEM供給だとすれば、宣伝広告コストをかけず、自
社ブランドのしがらみを持たないアグフアにとって有利だろう。

●コストは生産量によるスケールメリットが影響を与えるが、既に
欧州最大の生産量を誇っており、他メーカにひけをとることはない。

●勝ち目のないルールでの戦いを避け、新たな競争ルールを構築し
ていくというのも、戦略を考える上で非常に重要なことなのだ。

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■■■ 今日の教訓 ■■■
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業界全体が志向している競争ルールは何かを考えてみよう。その中
で、あなたの企業に勝ち目はあるかを考えてみよう。勝ち目がない
ようであれば、新たな競争ルールをつくり出せないかを考えよう。

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